優等生

自意識過剰かもしれない。
人の評価がとても気になるこどもだった。

優等生だった兄に追いつけ追い越せ、と言われて育った。
兄なりに努力しているのだと思うが、そんなに頑張らなくても人並み以上のことができる兄だった。

自分もそうならないと、両親に愛してもらえないような気がしていた。

しかしわたしは兄とは正反対だった。
今でもそうだが、人と同じことをするには、人並み以上の努力が必要だった。

幸い努力はするほうだったので、成績は上位をキープできた。
みんなわたしを生まれつき頭が良いと思っていたが、それはわたしが死に物狂いで努力をしていた結果だった。

両親の基準は常に兄だった。
わたしに兄以上になることを求めた。
わたしは常にぎりぎりのところにいて、いつも崖から落っこちそうになる夢を見た。

ある時から急に頑張れなくなった。
頑張ろうという思いはあるのに、体が言うことを聞かないのだ。
それはとても焦りを生んだ。
焦れば焦るほど、悪循環に陥っていった。

そうして余裕だったはずの受験に失敗した。
両親はもうわたしになにも言わなくなった。

もう、なにもかも終わりだと思った。
生きていてもなんの価値もない。
しばらくの間、なにもできずに過ごした。

しかし、時が経って兄とは違う学校に行き、両親の敷いたレールからようやく外れることができた。
もう同じ道をたどらなくていい。
自分のペースで自分の好きな道を選んでいこう。
それはわたしにとってかけがえのない、自由を手に入れるための道のりだったのかもしれない。

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