就活の思い出

就職面接には苦戦した。
深い志でもあれば別だったかもしれないけど、自分がなにをやりたいか、というよりもなにができるのかが分からなかった。
企業が求める人材は、きまって創造的・意欲的で、コミュニケーション能力に優れ、新しいものを作っていく力のある人物だった。

そんなスーパーマンみたいな学生がいるのかと思っていたが、同時に自分に自信が持てず悩んだ。なにがしたいか、はっきりしている人はいいなと思った。
狭き門かもしれないが、専門職で、腕一本で生きていけるような。
そんな分野を持たないわたしは、自信を持って、自分ならできますと言うことができなかった。

就職氷河期で、買い手市場だった。
そんな中、面接官たちは難しい質問ばかりした。

第一志望の面接で、「あなたはバカになった経験がありますか?」と聞かれた。
とっさに聞かれると、なにがバカな経験だったか思い出せなかった。
あとで分かったことだけど、その会社は心の病にかかる社員が多かったので、少しおバカでたくましいくらいの人材を求めていたようだった。

ある日、腹をくくった。
背伸びして、自分以上のものになろうとするのはやめよう。
どうせメッキははがれてしまう。
それならば、等身大の今の自分を見せて、それでも採用してくれるような会社を選ぼう。

そう思うと、急に肩の荷が下りたように気持ちが楽になった。
リラックスして面接に臨めたことが功を奏した。
わたしは無事、面接試験をクリアできたのである。

«
»